東北大学の中村修一准教授らは4日、腎臓細胞に付着した細菌の動きを、蛍光標識を使うことなく、機械学習で自動追跡する手法を開発したと発表している。この技術は新興感染症への迅速な対応や新しい診断支援技術の開発につながりそうだ。
研究が始まって間もない感染症の病原体や遺伝子操作技術が十分に確立されていない種では、遺伝子導入やタンパク質合成がうまくいかない場合が多い。これは研究の進展を阻む一因となっている。
課題解決のため、研究グループは監視カメラの映像解析に用いられる機械学習による「背景減算法」を応用。動物細胞に付着した病原性細菌「レプトスピラ」の運動について蛍光マーカーを使わずそのまま分析することに成功した。
グループは「解析対象の微生物種を選ばない本研究の無標識検出技術は、病原体について未知の部分が多い新興感染症や、未曽有の感染症に対する迅速な対応に大いに役立つ」と説明している。