名古屋市立大学と滋賀医科大学などの研究グループは4日、加齢で脳体積が減少することに伴い脳循環血流量も減少していることを確認したと発表した。40代女性において総脳血流量が男性よりも多いことが、片頭痛などの発症リスクが女性に高いことと関連しているとみて、今後研究を進めていく。
研究では22歳から92歳までの健常ボランティア129人の頭部のMRI画像を撮影。AIで脳と脳脊髄液腔を26領域に自動分割する「脳区域解析」アプリと脳動脈の3D流速を計測する「4Dフロー」アプリを用いて、脳領域の頭蓋内に占める体積割合と主幹動脈の脳血流量を計測。健常者の加齢性変化と性差、左右差を調査した。
この結果、頭蓋内容積は男性が女性よりも大きい傾向にあるため、脳の総容積も男性の方が高い傾向にあった。頭蓋内容積に占める体積割合では男女差がなくなるが、両側の前・中・後大脳動脈の血流量を合計した総脳血流量はどの年代でも平均して女性が多く、特に脳容積が大きい40代以下の若年女性の総脳血流量の数値が高い傾向があった。
研究グループは今後について「この総脳血流量が、特に40代以前の女性において、男性よりも多いことが、片頭痛や脳動脈瘤(りゅう)の発症リスクが女性に多い原因となっているのではないかと考えて、今後さらに研究を進めていく予定」としている。