文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL

文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL
新たな拡散医薬による糖原病la型の治療法を提示(広島大)

広島大学の岡田賢教授らのグループは4日、核酸医薬による糖原病Ia型の治療可能性をヒト細胞及び病態モデル動物を用いて示したと発表した。今回得られた知見は、糖原病Ia 型の新規治療法の発展に貢献すると期待されている。

研究グループは、糖原病Ia型の新たな治療法として糖原病Ia型の東アジア好発変異「G6PC ⅽ.648G>T」に対して、スプライシングを制御するSSO療法の可能性を検討した。

G6PC ⅽ.648G>Tの異常スプライシングを是正可能かつ肝臓で長期間安定局在可能な化学修飾を付与したSSOとして核酸医薬「DS-4108b」をデザイン。G6PCⅽ.648G>T発現ヒト細胞および新規に作出したG6PC ⅽ.648G>T薬剤誘導型ノックイン(cKI-Mut)マウスを用いてその効果を検証した。

DS-4108bは、G6PCⅽ.648G>T発現ヒト細胞で認める「G6PC異常スプライシング」を是正し、G6Pase活性の回復に成功している。

また、DS-4108b皮下投与は、cKI-Mutマウスが示すG6PC異常スプライシングとG6Pase活性低下を是正するとともに絶食時低血糖の改善や肝臓の代謝全体の改善、グリコーゲンや脂質蓄積の低下、肝腫大等の症状の改善を達成した。

さらに、マウス及びサルを用いた薬物動態及び安全性試験において、DS-4108bは良好なプロファイルを示した。これらの結果から、月1回程度の投与頻度で空腹時低血糖の予防と、肝腫大等の従来治療介入困難だった症状の改善が期待される。

研究グループは今後について「本研究で作出したcKI-Mutマウスの病態をさらに精査し、投与開始時点の病態進行度によるSSOの有効性の違いや腎症状に対するSSOの効果について今後明らかにしていきたいと考えている」とした。