名古屋大学の榊晋太郎大学院生らの研究グループは4日、京都大学との共同研究でデンキウナギの放電が遺伝子組み換えの原動力になり得ることを新たに発見した。
デンキウナギはアマゾン川流域に生息し、最大で860ボルトの放電が可能な地球上で最大の発電生物として知られる。細胞生物学ではパルス電流を用いて細胞へ遺伝子を導入する手法があり、それが遺伝子組み換えを起こすきっかけになりえると考えた。
研究グループは、河川環境でデンキウナギが放電した場合に、周辺の生物の細胞に作用して、水中に存在しているDNA断片(環境DNA)が細胞内に取り込まれる可能性があると仮説を立てた。
検証のため、研究室でデンキウナギを飼育。研究に使うゼブラフィッシュの稚魚をDNA 溶液に浸した状態で、デンキウナギの放電に暴露する実験を行った。その結果、ごく微量ではあるものの、遺伝子導入が確認された。これは、デンキウナギ由来の放電が細胞への遺伝子導入を促進する作用を持つことを示している。
榊氏は「このような思いもよらぬ、突拍子もない着想から新しい生物現象を発見する試みが、世の中に生き物の奥深さを啓発し、将来のブレイクスルーのきっかけになると信じている」とコメントしている。