大阪公立大学の梁剣波准教授らの研究グループは、地球上で最も高い熱伝導率をもつダイヤモンドを基板に用いた窒化ガリウム(GaN)トランジスタを作製。炭化ケイ素(SiC) 基板上に作製した同一形状のトランジスタと比べて、放熱性を2倍以上高めることに成功した。
研究ではまず、Si基板上に窒化ガリウム層(厚さ3マイクロメートル)と炭化ケイ素(3C-SiC)バッファ層(同1マイクロメートル)を生成。その後、Si基板から2層を剥離した。表面活性化接合法を用いてダイヤモンド基板上に接合することで、約1インチの GaNトランジスタを作製している。
高品質なSiC薄膜を用いることで、1100度の熱処理を行った後でも接合界面に膜剥離が起こらず、高品質なヘテロ接合界面を得ることができる。
この方法で作製したダイヤモンド基板上GaNトランジスタの放熱性を検証するため、SiC基板上に作製した同一形状のトランジスタと比較しました。その結果、ダイヤモンド基板上のトランジスタは、SiC基板上のものに比べ、放熱性が2.3倍向上した。
また、他の先行研究で作製されたダイヤモンド基板上のトランジスタよりも高い放熱性を達成し、トランジスタ特性の大幅な改善に成功している。
研究グループは「今後、ダイヤモンド基板を用いた大面積窒化ガリウムトランジスタが実現することで、5G通信基地局や気象レーダー、衛星通信分野などの高出力や大電力用途へ利用の幅が広がる」と見込んでいる。