東京大学の久保麦野講師や英リンカーン大学の坂本学上級講師らを中心とした国際共同研究グループは1日、後期ジュラ紀から白亜紀までの鳥脚類と呼ばれる草食恐竜のグループの歯の傷(マイクロウェア)を解析して、鳥脚類がそれ以前の同類と比べてマイクロウェアが深く、ばらつきも大きいと明らかにした。
本研究ではまだ被子植物が多くなかった後期ジュラ紀および前期白亜紀の鳥脚類恐竜と、被子植物の割合が増えた後期白亜紀の鳥脚類恐竜のマイクロウェアを比較。そのために後期ジュラ紀や前期白亜紀の試料として、ドイツや中国の博物館で歯型を収集。後期白亜紀のものは日本の博物館などから集めた。
収集した歯型を共焦点レーザー顕微鏡でスキャン。歯の表面のマイクロウェアの3次元解析を行った結果、後期白亜紀の種はそれより前の時代の種よりも平均的にマイクロウェアが深いことが分かった。
一方で、後期白亜紀のグリポサウルスはマイクロウェアが浅く、後期白亜紀の種のマイクロウェアの形状は多様性も高いことが判明している。
研究グループは「被子植物の放散に応じて、鳥脚類恐竜が被子植物の摂食量を増やしていったことを示唆している」と指摘。「ただ、グリポサウルスの例や後期白亜紀の草食恐竜の糞化石には多様な植物の花粉が含まれることなどから考えると、鳥脚類恐竜は好んで被子植物を食べたというよりは、選択せずに食べていた可能性が高い」と説明している。