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光回復酵素による損傷DNA修復 理研研究Gが原子レベルで解明、薬剤開発などに寄与

理化学研究所(理研)の別所義隆客員研究員や台湾大学などの研究グループは1日、X線自由電子レーザー(XFEL)施設「SACLA」と「SwissFEL」を用いた解析によって、紫外線によって損傷したDNAを修復する光回復酵素の動的構造を解明した。反応中間体の構造に基づいた薬剤などを設計するための第一歩となりそうだ。

光回復酵素は青色光が当たるとDNA修復を始めるが、修復中の酵素及びDNAの立体構造は不明であった。

研究では、酵素の活性中心であるフラビン補酵素FADからの電子移動を引き金とした DNA 修復反応と、修復されたDNAが酵素から離脱する様子を、ピコ秒(1ピコ秒は1兆分の1秒)からマイクロ秒(1マイクロ秒は100万分の1秒)スケールで明らかにした。

研究グループは「原子レベルで酵素反応の全過程を直接調べることが可能となり、新たな

酵素学への扉を開いた」説明。「今後、酵素の真の活性状態である反応中間体の構造に基づいて、合理的に触媒や薬剤を設計するための第一歩となる」としている。

研究で明らかになった光回復酵素の反応