物質・材料研究機構(NIMS)は、電流と熱流がそれぞれ直交する方向に変換される横型熱電変換の性能を、磁場や磁性によって大幅に向上できると実証。永久磁石材料と熱電材料の複合で、電流で冷却や熱から発電などできる「熱電永久磁石」という新しい機能性材料を開発した。これは磁石で熱制御や環境発電を行う指針を提供するものだという。
研究チームは、磁気熱電効果を含む3種の異なる現象を同時に発現させる複合材料を作製。横型熱電変換による冷却の高性能化を実現した。
磁気熱電効果を示す 「Bi88Sb12合金」とペルチェ効果を示す「Bi0.2Sb1.8Te3合金」を交互に積層・接合して切断した複合材料を用いた。磁場をかけることで横型熱電変換性能が向上し、この増大が3種の現象によるハイブリッド熱電変換に由来することを示した。
さらに、複合材料中の一部を永久磁石に置き換え、磁場がなくても磁気熱電効果で横型熱電変換性能を向上できると実証している。
研究グループは「磁石に高性能の熱電冷却、発電機能を付与するための材料設計指針を確立した」と紹介。今後について「社会の省エネルギー化に資する熱マネジメント技術やIoT 技術に必要な環境発電への応用展開を目指し、材料やデバイス技術開発に取り組んでいく」と意気込んだ。