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世界初! 近大、水温上昇によるトンボの幼虫への殺虫剤の影響強化を確認 

近畿⼤学の早坂⼤亮准教授らのグループは、⽔⽥に⽣息するトンボ類の幼⾍が受ける殺⾍剤の影響が⽔温上昇によって強くなり、個体数が減少することを世界で初めて解明した。温暖化が進⾏するなかで、⽣物多様性に配慮した農業⽣産のあり⽅を検討する際に重要な知⾒となりそうだ。

研究グループは、⽔⽥環境を模した実験的な⽣態系を野外に設計。今世紀末までに予想される最悪の温暖化シナリオを想定して⽔温を常時4度程度上昇させた場合に、殺⾍剤「フィプロニル」がトンボ類幼⾍に与える影響がどのように変化するかを検証した。

研究では⽥植え後の6⽉後半から収穫期である10⽉後半にかけて、2週に1回程度の頻度で計9回のモニタリングを⾏った。その結果、⽔温が⾼い状態で殺⾍剤を使⽤した場合、通常の水温で殺⾍剤を使⽤した場合以上にトンボ類の幼⾍の個体数が減少した。

これによりトンボ類の幼⾍に対する農薬の影響は、⽔温上昇にともなって⼀層強まる可能性が明らかになった。早坂准教授は「今回の研究が、複雑性を考慮した環境影響評価の契機となることを期待する」とコメントしている。

⽔温上昇下における殺⾍剤施⽤