横浜市立大学の黒木淳教授らの研究グループは、個人の組織に対する貢献意欲を表す「組織変革へのコミットメント」の日本語版尺度を日本ではじめて開発した。自治体職員のデータ活用に対する行動意識の実態とその要因を調査して30日に結果を発表した。
研究ではデータ活用推進が最も進んでいると予想された105市(20政令指定都市、62中核市、23特別区)の職員を対象にして、「組織変革へのコミットメント」尺度を含むデータ活用推進に対するアンケート調査を実施した。
調査では開発した3種類のコミットメント、愛着があるため組織改革をする「情緒的コミットメント」、利益の有無の側面から改革する「存続的コミットメント」、義務感から改革する「規範的コミットメント」について行動意識と関係性を分析した。
その結果、情緒的と規範的なコミットメントの係数は0.1%水準以下でプラス有意に推定された。だが、存続的コミットメントの係数は5%水準以下でマイナス有意にはたらいた。
これらの結果から、データ活用推進に対する行動意識は組織への愛着と義務感が特に重要であることが判明した。一方で、功利的な側面は行動意識とマイナスの関連を持つことが分かっている。
研究グループは「本研究で開発した組織変革へのコミットメント尺度が他の文脈における組織変革においても信頼性と妥当性が認められるのか否かについては、慎重に検証を重ねる必要がある」と説明している。
一方で「大企業や地方公共団体をはじめとする他の組織においてDXやデータ活用推進に由来するプロセス変革の動向を踏まえながら、この日本語版尺度のさらなる活用や発展が期待される」とした。