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温暖化の西太平洋への影響はいつから? 岡山大研究G 「ハマサンゴ」を用いて調査

岡山大学の井上麻夕里教授らの研究グループは、100年以上成長する「ハマサンゴ」の骨格試料の分析から19~20世紀初頭にかけては、自然要因の影響を強く受けて海水温が変動していること発見。一方で、1976年以降は人為的要因により海水温が上昇傾向にあったことを報告した。

西太平洋熱帯域は、通年の表層海水温が28度以上と世界的に最も暖かい海域で、西太平洋暖水塊(WPWP)と呼ばれている。WPWPの挙動はモンスーンなどの気候現象にも影響を与えるが、過去から現在までの温暖化に対するWPWPの影響はよく分かっていない。

そこで研究グループは年輪を形成しながら100年以上も成長を続けるハマサンゴを試料として扱うことで、過去200年以上の連続的な海水温の復元を行った。これにより、黒潮の出発点でもある西太平洋熱帯域がいつから、どのように人為的要因による温暖化の影響を受けていたのかを明らかにした。

その結果、1976年以降は西太平洋熱帯域の複数地点で温暖化傾向が見られ、特に夏の温暖化が顕著であることが判明した。また、自然要因として西太平洋熱帯域内で海水温の変動パターンに多様性が見られたのに対し、人為的要因では一様な温暖化傾向が確認されている。

井上教授は「自然界においても多様性や複雑性によりシステムが安定していると感じており、現在の温暖化によりこの安定性が崩れつつあることに危機感を持っている」とコメントした。