東京⼯業⼤学の宮崎正義助教らは28日、窒素イオンと酸素空孔が隣接した構造を有する六⽅晶「BaTiO3-xNy」が、超塩基触媒に匹敵する⾼い塩基性を⽰すことを見いだしたと公表した。これまで報告されている塩基触媒に対しても適⽤でき、普遍的な触媒設計指針を与える研究成果だとしている。
研究で合成した六⽅晶BaTiO3-xNyは、−2価の酸素イオン(O2-)を−3価の窒素イオン(N3-)で置換するので、酸素空孔が⽣成し、それが窒素イオンに隣接している。酸素空孔にトラップされた電⼦は、隣接した窒素イオンと相互作⽤し、より電⼦密度が⾼く、エネルギーが⾼い準位を形成する。
それによって、極めて⾼いルイス塩基性が発現する。これにより、この物質は六⽅晶BaTiO3-x酸化物、あるいは酸素空孔を含まない窒化物と⽐較して、⼆酸化炭素やクロロホルム吸着、クネフェナーゲル縮合反応に対して⾼い触媒作⽤を⽰した。
研究グループは「今回の研究は固体塩基触媒において、窒素イオンと酸素空孔が塩基性に与える役割を明らかにしたものであり、今後の触媒開発に重要な指針を与える」としている。