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たんぱく質の相互作用を特定 東京医歯大研究Gが新方法開発

東京医科歯科大学の横山三紀准教授らの研究グループは27日、理化学研究所などとの共同研究で、たんぱく質が別のたんぱく質と相互作用する新しい方法を開発したと公表した。

細胞において、光反応性の架橋部位を導入したたんぱく質Aと相手側のたんぱく質Bとの間で架橋が形成されれば両者が直接的に相互作用していることを示すことができる。そして架橋部位を導入した位置はたんぱく質Aがたんぱく質Bと結合する接触面の近傍にあると考えられる。だが、この方法では相手側たんぱく質Bのどの部位と架橋が形成されたかを知ることは困難であった。

研究で開発した方法は相手側たんぱく質Bにあらかじめ部位特異的な「切断部位」を仕込んでおくことで、たんぱく質Aとの架橋が形成された部位を決めるもの。拡張遺伝暗号を用いた非天然アミノ酸の導入技術を利用して、光反応性の架橋部位が入ったたんぱく質Aとアルカリ処理で自発的に切断が起こる切断部位が入ったたんぱく質Bを細胞に作らせる。

架橋部位と切断部位をそれぞれ狙った位置に入れられる点がポイントだ。細胞内でたんぱく質Aとたんぱく質Bが直接結合している場合に、細胞に紫外線を照射すると両者の架橋物が形成される。架橋物をアルカリ処理した時に、たんぱく質Bの末端に入れた目印が残る場合には、切断部位と目印の間で架橋が形成されている。

反対に目印が残らない場合には、架橋は切断部位を入れた位置よりも目印から遠いところで形成されている。切断部位の位置を変えていくことで、架橋が形成された範囲を絞り込むことができる。

この方法をリソソーム膜に存在するたんぱく質「LAMP-2」同士の複合体に適用して、これまでに検出した架橋が相手側LAMP-2のどの部位との間に形成されたかを調べた。その結果、LAMP-2は少なくとも三量体以上の多量体を形成できることが明らかになった。

研究グループは「LAMP-2のリソソーム内での多量体化能の意味に着目することが新しい手がかりになると期待される」とした。