東京大学の吉岡信行助教らは、対称性を満たす量子ランダム性の擬似的な生成方法を明らかにした。研究グループは「物質固有の対称性を活用したより効率的な量子情報処理法の開発に寄与する」と期待感を抱いた。

研究では大きく二つの成果が確認された。一つ目として、量子擬似ランダム性が対称性の下でどのように変わるかを明らかにした。具体的には、クリフォードゲートの組の持つ擬似ランダム性のレベルが保存されるための条件は、対称性がパウリゲートを用いて記述されることであることを証明した。

二つ目の成果として、対称性を満たす全てのクリフォードゲートを無駄なく生成する方法を発見した。この方法を使わずに対称性を満たすクリフォードゲートを得る従来の方法は、クリフォードゲートを大量に生成して、その中から低い確率で出現する対称なゲートを選び出すという非効率的なものであった。

その一方で、今回発見した方法は、確実に対称性を満たすクリフォードゲートを得られるだけでなく、全てのゲートを等しい確率で生成できるという利点がある。

研究チームは「研究結果は、対称性に起因する新たな物理現象の研究や、物質固有の対称性を活用した効率的な量子情報処理手法の開発に役立つ」とコメントしている。