文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL

文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL
ピルビン酸の光を用いた高核偏極化 九大研究Gが成功 低コスト高感度MRIがん診断の提供に貢献

九州⼤学の楊井伸浩准教授らの研究グループは、医療応⽤に向けて最も重要な磁気共鳴イメージング(MRI)がんプローブであるピルビン酸の¹³C核スピンをtriplet-DNPによって⾼偏極化することに初めて成功した。⾼感度MRIがん診断を低コストで医療機関へと提供することにつながる可能性もある。

これまでtriplet-DNPに⽤いられてきた偏極源分⼦は疎⽔的なペンタセンに限られており、応⽤上重要な⽣体分⼦プローブである親⽔的なピルビン酸とは相溶性が悪く、ピルビン酸の⾼核偏極化は困難であった。

研究グループは、⽔溶性ペンタセン誘導体とシクロデキストリンとの超分⼦相互作⽤を利⽤することで偏極源の分散性を改善し、ピルビン酸の¹³C核スピンへの偏極移⾏を実現しました。

楊井准教授は「光励起三重項を⽤いた動的核偏極法ですが、最も重要ながんプローブであるピルビン酸にこれまで適⽤できなかった」と説明。「化学的な⼿法を適⽤することでこの問題を解決し、我々が掲げる『量⼦と⽣命を化学で繋ぐ』というコンセプトを実証できた」とコメントしている。