宮崎大学の平野羊嗣准教授らの研究グループは、統合失調症者の脳磁図計測を行った。脳内ネットワークの活動に異常が見られること、その異常が統合失調症者の抱える社会機能障害と深く関連する可能性があることを発見した。
研究では統合失調症の社会機能障害の神経基盤を調べることを目的に、コミュニケーションを行う際に声と顔の情報を脳内でどのように統合処理しているかを健常者と統合失調症患者で比較検討した。
その結果、統合失調症群では左半球外側溝後枝と右半球紡錘状回の間の機能的結合に著しい低下が見られた。その異常の程度が陰性症状の重い患者ほど大きいことが分かった。聴覚と視覚から得られる言語的な情報を処理する脳内ネットワークの機能が統合失調症者は破綻しておりその社会機能障害とも深く関連するとしている。
研究グループは今後について「リアルワールドに近い会話や動画刺激を用いて、言語や感情といったより高次脳機能に関連するネットワークを明らかにしたいと考えている」としている。