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野生ラットで鉛化学種の体内分布を報告 龍谷大など6大学の研究チームが世界初

龍谷大学の藤森崇准教授など6大学の専門家らとの国際共同研究により、高濃度の鉛で汚染された野生ラットの体内器官などの鉛化学種の分析結果を報告した。鉛化学種の体内分布を世界で初めて報告している。

鉛(Pb)は、血液毒性、臓器毒性、神経毒性などの毒性影響が懸念されるため、環境や野生生物の汚染物質として世界規模で調査が続けられている。研究の背景には環境や野生生物に含まれる鉛の量と化学状態の両方を理解することで、その移動性や安定性などの特性を議論する目的がある。

研究では鉛汚染で知られているアフリカのザンビア・カブウェ地域を採取。体内器官の鉛濃度が高い個体を対象として、骨や筋肉、肝臓など7つの異なる組織と胃、小腸、大腸の3つの消化管内容物及び糞便中の鉛化学種をX線吸収端近傍構造(XANES)法により分析した。

その結果、体内組織における鉛の形態は、移動性の高い形態とチオール基に結合していると考えられる形態の2種類に大別された。移動性の高い形態は、造血臓器(脾臓)と主要ではない蓄積臓器(筋肉と脳)に関与すると考えられる組織で同定されている。

チオール基と結合した形態は、肝臓と脳で特に顕著。腎臓と筋肉にも見られた。これら2つの鉛形態は、ラットの体内組織に一般的に広く分布しており、鉛が体内循環に取り込まれた後の形態を代表している可能性がある。移動性の高い形態は循環系を介した鉛の輸送を表し、チオール基結合形態は鉛の安定化または固定化を表すものと推測された。

研究グループは「試験動物ではなく野生生物における鉛化学種の体内分布はこれまで報告例がなく、今後の鉛の毒性・解毒機構の解明に資する知見と考えられる」と説明している。

様々な組織(⾻、筋⾁、肝臓、腎臓、脾臓、
肺、脳)、胃、⼩腸、⼤腸の内容物と、糞便
中のPb化学種の分布図