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高い弾性率と強靭性を両立したゲル電解質 東大の研究Gが開発に世界初成功

東京大学の眞弓皓一准教授らの研究グループは、「硬くて丈夫な電気用ゲル電解質」を開発したと発表している。10MPaを超える高い弾性率と100MJ/m³程度の高い強靭性を両立したゲル電解質の開発に世界で初めて成功した。

これまでは硬さと靭性にはトレードオフの関係がありそれらの両立は難しいと考えられてきた。

曲げなどの変形で高分子が引き延ばされると、内部の高分子鎖が伸び切り、互いに集まることで結晶化し、材料の力学強度が向上することが先行研究で分かっていた。この原理をゲル電解質に適用し、伸長誘起結晶化を起こす環動ゲル電解質の開発に成功している。

伸長誘起結晶化には、電解質内部の高分子鎖を均一に変形させることが重要になるが、そのための高分子鎖を環状分子によって連結した環動網目を用いた。環動網目構造を適切に制御することで、電解質中においても高分子鎖の変形を均一化できることを見いだし、伸長誘起結晶化による強靭化を実現している。

研究によって開発したゲル電解質は曲げても元の形状に戻る柔軟性を有しつつ、亀裂に対して高い抵抗性を示す。また、電解質中において環動網目の環状分子が凝集して固い連続相を形成することが判明した。その結果、高い弾性率を達成したとしている。

研究グループは「世界最高水準の強靭性と高い弾性率を両立した自己補強ゲル電解質は、高い安全性と耐久性が必要とされるフレキシブル電池の電解質としての応用が期待される」と説明した。

硬さと丈夫さを兼ね備えたゲル電解質