東京大学の金炯俊特任准教授らの研究グループは東京工業大学と共に、過去60年間に観測された東アジア地域の前線性豪雨の強度の増加が人間活動による気候変動の影響を受けていることを明らかにした。同地域の前線性豪雨に対する温暖化の寄与度を世界で初めて評価している。
東アジアの夏の大雨をもたらす前線は、偶然性や自然変動に影響を受けるため、近年の激甚化が、人間活動による温暖化の影響なのかは明確ではなかった。
研究では、過去約60年間の観測データを使用して、夏季の気象前線に由来する東アジアでの大雨の強度が有意に変化したことを確認した。さらに、過去再現シミュレーション(HIST)と温室効果ガスが増加しなかったと仮定したシミュレーション(XGHG)のデータを使用。観測された変化は、人間活動による温室効果ガス濃度増加の影響を除外して説明できないことを示した。
研究グループは「最近及び近い将来の気候変化が東アジア地域の前線性豪雨に与える影響を理解し、評価するために非常に重要な情報を提供している」と評価した。