理化学研究所(理研)の田中拓男チームリーダーらの国際共同研究グループは、偏光で焦点距離を制御できるメタレンズを開発した。スマートフォンのカメラや内視鏡など幅広い用途で活用できそうだ。
メタレンズとは光の波長よりも細かなナノメートルスケールの人口構造によって構成されるレンズを指す。
これまでメタレンズでは焦点距離を変化させる焦点可変レンズが提案されていた。だが、いずれも機械的な操作を伴うため従来の複数枚のレンズで構成されている焦点距離可変レンズと同様に応答が遅く、機構が複雑化する課題があった。
そこで研究グループは入射する光の変更方向を変えるだけで焦点距離が変化するメタレンズの開発を行った。レンズを構成するナノ構造を特定の光の波長にのみ応答するように設計。光の偏光方向を変化させることでレンズの焦点距離を自在に変えることに成功した。
研究グループは「小型かつ極薄で高速に焦点位置やズーム率を変化させられるレンズが実現された」と評価。「スマートフォンのカメラや拡張現実ディスプレイ、顕微鏡、双眼鏡や内視鏡などの医療用光学機器など幅広い分野に適用できる」としている。