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「エイズウイルスを形成するタンパク質がウイルス被膜を形成」 理研研究チームが発見

理化学研究所(理研)の佐甲靖志研究員らのチームは21日、エイズウイルスの形成を担うタンパク質が、感染した細胞の細胞膜の脂質を再編成してウイルス被膜を形成することを発見したと発表した。科学雑誌「ネイチャーコミュニケーションズ」のオンライン版に掲載されている。

エイズやコロナウイルスは被膜ウイルスと呼ばれ、脂質膜に囲まれた構造をしている。ウイルスは自身で脂質を合成できないため、ウイルス粒子形成の際に感染細胞の一部を利用している。

細胞膜にはさまざまな脂質が存在するが、ウイルスは感染細胞の脂質をランダムに獲得するわけではなく、主として脂質「スフィンゴミエリン」「コレステロール」の2種を濃縮している。これらがウイルス活性の保持に必要であるとされるが、ウイルスがどのように特定の脂質を濃縮するかは分かっていなかった。

研究チームによると、エイズウイルスの形成には「Gag」と呼ばれるウイルスタンパク質が中心的な役割を果たしている。

研究員らが感染細胞の膜脂質をナノメートルで可視化することにより、このタンパク質がスフィンゴミエリンとコレステロールに富んだ脂質「マイクロドメイン」を再編成して濃度を高めていることを明らかにした。

さらに、ウイルス形成にはGagタンパク質同士によって誘導される細胞膜の曲率の変化が重要であることを突き止めている。

エイズウイルスタンパク質 Gag による脂質
マイクロドメインの再編成・濃縮