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ガンマ線バーストに2種の衝撃波 金沢大とメキシコ国立大などと国際研究で存在を発見

金沢大学の浅野勝晃教授らの研究チームとメキシコ国立大学などの国際共同研究グループは、フェルミ宇宙ガンマ線望遠衛星と東広島天文台かなた望遠鏡を用いて宇宙最大の爆発現象「ガンマ線バースト」からのガンマ線と可視光変更の同時観測を実施。ガンマ線バースト内部に2種類の衝撃波があることなどを突き止めたと21日に発表した。

ガンマ線バーストはブラックホールからジェットが噴き出し、そこからガンマ線が放射されると考えられているものの、放射メカニズムやジェット駆動機構は謎に包まれていた。

研究では光の向きの偏りを調べることができる偏光観測を爆発発生から80秒後という極めて早い時間帯で観測。このことから、ガンマ線バーストのジェット内部に2種類の衝撃波が存在し、それぞれの波の磁場構造が異なることも新たに突き止めている。

ジェット内部で作られる衝撃波によって高エネルギー粒子が誕生して、その粒子が磁場と作用することでガンマ線が生じると考えられる。ガンマ線の放射起源を知るうえで、磁場はなくてはならずガンマ線を放つジェット内部の磁場構造を明らかにしたのはこの研究が初めてとなる。

研究グループは「ジェットを光速近くまで加速する機構として、磁場駆動モデルが提案されていますが、そうしたモデルに制限を与える重要な結果となる」としている。

ガンマ線バーストのイメージ図 (Copyright:
2023 金沢大学,イラスト制作:武重隆之介・髙橋壮一)