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食と健康に関する一般書は適切な根拠を示しているか? 東大の研究Gが日米比較で実態調査

東京大学の村上健太郎教授らの研究グループは、食と健康に関する一般書において、米国と日本を比較した。日本は引用文献の質および記載されている情報の質が不十分であることを明らかになっている。

日本や米国では、約2-3割の人が一般書から食や健康に関する情報を入手している。書籍では引用した文献を明記することは必要不可欠。だが、これまで一般書の引用文献についてはほとんど調べられてこなかった。

そこで研究グループは、日米各100冊、計200冊を調査。引用文献の記載の有無と引用文献の種類、書き方など引用文献の特徴を明らかにした。

■日本5冊、米国37冊

その結果、日米どちらも約3分の2の一般書が引用文献を提示していたが、引用文献の特徴は大きく異なった。人を対象とした学術研究を引用した一般書は、日本(29冊)で米国(58冊)よりも少なく、100件以上の文献を引用した一般書は日本5冊、米国37冊であった。

さらに、引用文献を提示した一般書のうち、全ての文献が特定可能となるよう十分な書誌情報を記載していたものは日本では約6割だったのに対し、米国では約10割であった。

研究グループは「信頼できる栄養情報の普及に向けて、著者や出版社、読者において引用文献の重要性が認識されるよう働きかける必要がある」と呼び掛けている。