広島大学の堀内浩幸教授らの研究グループは15日、ゲノム編集によりOVAを恒常的に分泌する細胞株の樹立に成功したと発表した。さらに、樹立した細胞株を利用して、ニワトリを利用した組換えたんぱく質生産の評価系を構築した。
ゲノム編集ニワトリを利用した組換えたんぱく質の生産体制の構築には、2~3年の時間がかかる。そのため、生産系において重要である組換えたんぱく質の生産量、活性などの評価を迅速に実施することができない。迅速に評価するためには、卵白成分を分泌する卵管内の細胞が必要だが、安定的な培養は困難とされている。これらは、ゲノム編集ニワトリを用いた生産体制を構築していく上で課題の一つとなっている。
研究では、ニワトリの培養細胞株にゲノム編集を施すことにより、これまで樹立されていない、OVAを分泌する細胞株を樹立することに成功した。この培養株を使用することで2~3年かかっていたニワトリを利用した生産体制の評価を短期間で実施できるようになった。
研究グループは「本研究成果は、ニワトリを利用した生産系の迅速な評価を可能にすることで、より安価な医薬品の生産につながると期待される」としている。