武蔵野大学教育学部幼児教育学科の今福理博准教授、東京大学大学院総合文化研究科の開 一夫教授らの研究グループは、心拍を感じる、空腹を感じる等の身体の中の情報を感じ取る能力(内受容感覚)を生後6カ月の乳児で測定し、内受容感覚に敏感である乳児ほど、養育者と見つめ合う(アイコンタクトする)ことを世界で初めて明らかにした。
これまで成人を対象とした研究では、内受容感覚に個人差があり、他者の感情認識やアイコンタクトの敏感さなどの社会性に関わる能力(社会的認知能力)に重要な役割を果たすことがわかっていた。しかし、乳児では内受容感覚の個人差が、社会的認知能力とどのように関連するのかについては解明されていなかった。
今福准教授らの研究グループは、心拍とモニター上の図形の動きを同期/非同期させる新技術によって、乳児の内受容感覚の個人差を測定することに成功。内受容感覚に敏感である乳児ほど、養育者と遊ぶ時にアイコンタクトを多くすることを明らかにした。
この研究成果は、ヒトの社会性と強く関連すると考えられるアイコンタクト行動が、乳児の内受容感覚という身体の中の感覚を基盤とする可能性を示す極めて重要な知見といえる。