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東京理大研究Gが新たな負極材料の合成に成功 エネ変換の低コスト化へ可能性

東京理科大学の駒場慎一教授らの研究グループは10日、ナトリウムイオンやカリウムイオン電池の新たな負極材料「ZnO鋳型ハードカーボン(HC-Zn)」を合成することに成功した。蓄電池を利用したエネルギー変換の低コスト化につながりそうだ。

ハードカーボンは高い熱処理をしても鉱物に変化をしない炭素。研究では、過去に報告したHC-Znに関する研究を発展させて、Mgと類似した性質を示すZnやCaを使用することを発案。ZnやCaを含む原料の組成比を系統的に変化させたさまざまなハードカーボンを合成し、負極材料としての性能評価を行った。

その結果、HC-Znで原料のグルコン酸亜鉛と酢酸亜鉛の組成比を75:25にして合成すると、最も優れた性能を示した。また、この負極材料を使用したナトリウムイオン電池を作製し、312 Wh/kgという驚異的なエネルギー密度を示すことを実証している。

この値はLiFePO4系リチウムイオン電池にも匹敵するほど優れた性能。カリウムイオン電池においても、381 mAh/gという非常に高い値を示すことが明らかとなった。

研究グループの五十嵐大輔氏は「合成したZnO鋳型ハードカーボンは希少元素を使わないナトリウムイオン電池やカリウムイオン電池の大容量化・高エネルギー密度化に寄与し、蓄電池を利用したエネルギー変換の低環境負荷化、低コスト化に貢献することができる」と評価している。