国立天文台(NAOJ)は15日、チリのアタカマ砂漠に設置されている「アルマ望遠鏡」が最高解像度での観測に成功したと発表した。恒星進化末期段階の星「うさぎ座R星」などを最高解析度で観測することに初成功。今後、この技術を用いて、惑星の初期軌道分布を円盤の広範囲にわたって明らかにすることが可能になるという。
アルマ望遠鏡は星や惑星の材料となる塵やガス、わずかな電波をとらえることができる巨大望遠鏡。惑星誕生のメカニズムや地球外生命の可能性を明らかにするために、日本を含む22の国と地域が協力して運用する望遠鏡。
恒星進化末期段階の星「うさぎ座R星」の試験観測を実施したところ、天体を5ミリ秒角(1/72万度)の最高解像度で観測することに初めて成功した。より遠くの天体を地球軌道サイズで分解できれば観測対象が100倍に増えるという。
NAOJは「多数の原子惑星系円盤を観測しその構造を中心星付近から遠方まで地球軌道サイズまで描きだすことで、惑星材料物質である塵の成長場所や惑星の初期軌道分布を円盤の広範囲にわたって明らかにすることが可能となる」と説明している。