同一の音が繰り返されている時に、異質な音が鳴ると私たちはすぐに気づく。理化学研究所(理研)の小原慶太郎研究員らのチームは、この察知が聴覚野のどこで発生して伝わるのかを細胞レベルで突き止めた。
研究チームは細胞内のカルシウムの流動を測定する研究を行った。すると、異なる音が鳴ったときその周波数などを検知する「高次聴覚野前方部」の細胞が特に反応し、これが音情報の処理を行う「一次聴覚野」にフィードバックされることで、逸脱音が聞こえた際の脳の活動差を増強させていることが分かった。
増幅された信号が脳のほかの領域に伝わることによって、通常と異なる音に注意を向けることができていると示唆されている。研究チームは今後について「さらなる研究によって、統合失調症の大脳皮質回路異常の理解が大きく進展し、統合失調症に対する新たな治療方法の開発やヒト大脳皮質の情報処理原理の解明につながる」としている。