東北大学の大関真之教授らの研究グループは、組み合わせ最適化問題について課題とされてきていた制約ありの2次計画問題を解く際に長い時間がかかる問題を解決する手段として、列生成法と量子アニーリングマシンを組み合わせたアルゴリズムを提案。その効果を検証した。
研究のポイントは列生成法の計算の一部に、最適化問題の解を探索する「量子アニーリング」が得意とする特殊な問題形式が含まれていることにある。先行研究によれば、そのための計算に時間がかかり、全体の計算時間が長くなってしまう問題が残されていた。
研究チームは問題を解決するために量子アニーリングが有効であると着想。量子アニーリングマシンでの実験は、最大で3.7倍の高速化が確認された。さらに既存のコンピューターにおける量子アニーリングのシミュレーション技法にも本手法は適用可能だ。類似した手法である「シミュレーテッドアニーリング」については1000倍の速さで答えを求めることができるようになった。
研究チームは「研究の成果によって、配送や製造工程の最適化など、産業の社会課題を効率よく解決することが期待できる」としている。