大阪大学の中谷彰宏教授らの研究グループは9日、口角をあげる、まぶたを閉じるなど44種の人の顔の運動における面積のひずみの状態を高い解像度で可視化。皮膚の変形の様子を詳しくとらえる手法を開発した。顔のひずみを明らかにすることで、顔面運動の異常の自動診断などにつながりそうだ。
皮膚の各部分がさまざまな方向に動くことで生じる皮膚の動きがどうなっているかはこれまでほとんど知られていなかった。研究グループは先行研究で得られている高精度のデータを用いて、皮膚のひずみの解析を行った。
その結果、「ほとんど引っ張られず、また圧縮もされない皮膚領域」「引っ張られるが、ほとんど圧縮はされない領域」「ほとんど引っ張られないが圧縮はされる領域」といったように顔運動を通じて皮膚が受ける変形は部位ごとに異なることが確認された。
研究グループは「今後、顔のひずみの分布の個人差や、個人の特性との関連を明らかにすることで、表情認識や個人識別の精度向上や、従来人間の勘に頼っていた顔面運動の異常の自動診断などの展開が期待できる」としている。