富山大学の高雄啓三教授らの研究チームは13日、ダウン症のモデルマウスにおける脳の発生異常の解析を行った。これにより、このマウスの脳の発生異常が人のダウン症で認められる特徴と類似していることを明らかにした。ダウン症の症状緩和の治療法につながる可能性もある。
ダウン症様の症状を示すモデルマウスが開発され、その脳発生の異常が解析されてきた。だが、異常がマウスで異なったり、人のダウン症の症状が部分的に再現されていない課題があった。より適切なマウスの脳発生の解析が求められていた。
研究チームはダウン症が最もよく再現しているTcMAC21マウスを用いた実験で脳の活動を調べた。その結果、このマウスにおいて神経細胞が正常に働くためのリン酸化の制御に異常があり、これが学習記憶障害などの脳機能異常に関与している可能性が示された。
研究チームは「今後、TcMAC21 マウスを用いたさらなる研究により、ダウン症において脳の正常な形成や発達を妨げる分子メカニズムの詳細が明らかになれば、ダウン症の発症の仕組みが解き明かされ、症状を緩和する治療法の確立に重要な手がかりが提供される」と説明している。