山梨大学の小泉修一教授らの研究チームは9日、難治性神経変性疾患「アレキサンダー病」の病態保護に関与する細胞を発見したと発表した。この成果はミクログリアへの介入が治療戦略となる可能性を示唆している。研究成果はオックスフォード大学が刊行する国際医学誌「ブレイン」に掲載される。
研究チームは脳細胞のミクログリアに着目。この細胞は脳疾患などによる脳内環境の変化に敏感で、これらを検知すると素早くその性質を変えることで知られている。この細胞とアレキサンダー病との関連を調べた。
研究ではアレキサンダー病の患者とアレキサンダー病モデルマウスを用いて解析を行った。
マウス脳では脳細胞のアストロサイトが異常な性質を呈していたが、ミクログリアも形質が変化していた。ミクログリアはアストロサイトの異常をたんぱく質で感知して、形態や性質を変化させていることが判明した。
そのたんぱく質の行動を抑制すると、ミクログリアはアストロサイトを感知できなくなり、マウスの病状が悪化すると分かった。つまり、ミクログリアはアストロサイト病態を監視しながら、アレキサンダー病の進行抑制に関与すると示されている。
研究チームは「ミクログリアへの介入が将来的に新しいアレキサンダー病の治療戦略になる可能性を示唆するもの」としている。