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血しょうバイオマーカーがアミロイドβ沈着を高精度に 慶応大研究チームが予測「少ない侵襲で患者への適用が可能」

慶應義塾大学の文鐘玉特任准教授らからなる研究チームは9日、血しょうバイオマーカーであるアミロイドβ42/40がアミロイド PET検査による脳内アミロイドβ沈着を高精度に予測できることを発表した。アルツハイマー病のスクリーニングに有用な可能性もある。

血しょう中のバイオマーカーを測定することでこの脳内 Aβの沈着を判定する方法が複数開発されて注目されているが、それらの方法の多くは検査コストが高いか研究室レベルでの利用に留まり、広範囲の臨床利用にはハードルがあった。

研究チームは認知症の人とボランティアの協力で医療機器(HISCLTMシリーズ)を用いて血しょう中のAβ1-42とAβ1-40を測定。その比がアミロイドPET検査の陽性判定を予測できるか調べた。

その結果、血しょうAβ42/40比は、1に近いほど精度が高いAUCという指標で0.950と極めて高い精度でアミロイドPETによる陽性を予測した。加えて、軽度認知障害(MCI)と健常の人のみ、あるいは健常の人のみを対象とした場合でも、同様に高精度で予測した。

これらの予測精度は、他の有望な血しょうバイオマーカーであるリン酸化タウ181(p-tau181)、グリア線維性酸性たんぱく質(GFAP)、ニューロフィラメント軽鎖たんぱく(NfL)を有意に上回っていた。

研究チームは「アルツハイマー病のスクリーニングとしてHISCLTMシリーズを用いた血しょうAβ42/40比が有望である可能性が示された。特に、HISCLTMシリーズはすでに国内で広く利用できるため、少ない侵襲で幅広い患者への適用が可能」としている。

血しょう中のアミロイドβ42/40比で脳内のアミロイド蓄積を予測するイメージ