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「左手型分子を右手型に変える」 金沢大研究Gがキラル分子の変換スピードの調整に成功、電子機器に頼らない記録素子として期待

金沢大学の秋根茂久教授らの研究グループは、分子の構造が左手型から右手型になる変換を加速したり減速したりすることに成功した。新タイプの科学情報の記録分子であると言え、電子機器に頼らない記録素子としての発展が期待されている。

人間の両手のように右手型・左手型の区別がある分子は「キラル分子」と呼ばれる。これは左右で異なる性質を示す。それぞれ生体への影響が違うので、そのコントロールは医薬品や材料開発において重要だ。

あるときは右手型、あるときは左手型となる分子は、状況によって性質が逆になるため、それに応じて働きが変わるスイッチング分子として注目されている。このような右手と左手の間の変換をスイッチとして使うためには、必要な時に切り替えられることが理想歴だ。

☞変換の速さを1000倍変えることに成功

研究ではイオンを取り込むことができる空孔を持つ三重らせん型の分子を新たに開発した。金属イオンを加えると、らせん構造の左手型から右手型への転換が起こるが、その変換の速さを加える金属イオンの大きさによって、最短11秒、最長3時間のように1000倍変えることに成功している。