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「金属オキソ酸塩が糖の合成触媒として機能」 阪大教授らが触媒プロセスの構築に世界初成功

大阪大学の中西周次教授らの研究グループは8日、産業技術総合研究所と㈱豊田中央研究所のとの共同研究により、「生物が食べられる糖」を中性条件下で化学合成する触媒プロセスの構築に世界で初めて成功した。糖が原料として不可欠な領域でのゲームチェンジにつながる可能性もある。

研究グループは、タングステン酸ナトリウムなどの金属オキソ酸塩が中性条件下における糖の合成触媒として機能することを見いだした。そして、化学合成された糖が微生物により栄養源として利用されることを突き止めた。これは生物が食べることができ、またバイオ生産における原料として利用可能であることを意味する。

糖の化学合成は、光合成と比較して少なくとも数百倍と高速で、水や栄養塩もほとんど必要としない。将来的には、この技術がCO₂を原料として「生物が食べられる糖」を高速生産可能な仕組みへと発展し、環境調和性の高いバイオ生産技術の一層の拡大に貢献することが期待できる。

研究グループは「本研究成果に基づくと、生物が利用可能な糖がいつでもどこでも、高速に手に入る未来社会の到来が見えてくる」と説明している。