北海道大学の研究グループは、グリーンランドの氷河から流出する河川で音響センサを使った測定を行い、河川の流量を音の大きさによって精度良く測定できることを明らかにした。
夏のグリーンランドでは、氷河の融け水が川となって流れ出すが、この河川の脇にセンサを設置して水音を測定したところ、音響シグナルの大きさと河川流量に極めて高い相関関係が判明した。通常、河川の流量を知るために、高価な装置を激しい水流の中に設置し、冷たい水の中で人力による測定が行われる。この研究で提案する手法を使えば、安価で小さな装置を陸上に設置するだけで、長期間にわたって精度の良い流量観測が可能。こうした利点を活かして、音響センサを多数の氷河に展開して長期間の測定を行えば、氷や雪の融解が進む北極域の研究で大きな武器となる。
また観測地では氷河の融解や大雨によって洪水災害が発生しており、そのメカニズムの理解や、災害対策への応用も期待される。
この研究は、北大北極域研究センターのエヴゲニ・ポドリスキ准教授、大学院環境科学院博士前期課程の今津拓郎氏、同大学低温科学研究所の杉山 慎教授らにより行われた。
この研究成果は、Geophysical Research Letters誌(IF:5.576)にオンライン掲載された。