早稲田大学の片岡孝介主任研究員らの研究グループは8日、ミニ人工脳である「大脳オルガノイド」 において血管構造を導入するための戦略が、大脳オルガノイドを構成する神経系などに異なる影響を与えることを明らかにした。血管化手法の弱点を克服することが今後の課題となりそうだ。
研究グループは血管化大脳オルガノイドを横断的に評価することを目的に、公開データで入手可能な大脳オルガノイドと実際のヒト胎児脳のシングルセルRNAシークエンスデータを統合的に比較した。
その結果、「いずれの戦略で血管化しても大脳オルガノイドの遺伝子発現プロファイルは、非血管化大脳オルガノイドのそれと比べて、実際のヒト胎児脳の遺伝子発現プロファイルに近づくこと」など3点が判明した。
■実際に近い大脳オルガノイド血管化手法のヒントに
研究グループは「より実際の胎児脳に近い大脳オルガノイド血管化手法のヒントとなり、これまで治療が難しかった疾病を解決する一助となることを信じている」とコメントした。