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名古屋市立大 破裂脳動脈瘤に対する急性期治療や薬剤の使用率を調査

名古屋市立大学の間瀬光人教授が研究代表らのグループは7日、SAH/スパズム・シンポジウム学会と日本脳卒中の外科学会の協力を得て昨年11月にアンケートの結果を発表した。質問では治療を受けたくも膜下出血患者のうち、発症から72時間以内に破裂脳動脈瘤の急性期治療が行われた患者を対象として詳細を尋ねた。

日本脳卒中の外科学会技術指導医、技術認定医が在籍する553施設に調査を依頼し、162施設から回答を得た。不十分であった4施設を除外し、158施設のくも膜下出血患者3093人を解析対象とした。

破裂脳動脈瘤の再発予防目的の手術後に、遅発性脳血管攣縮による脳梗塞を発症した人数を調査した。それによると、開頭クリッピング術を受けた1401人の中では165人(11.7%)。脳血管内治療(コイル塞栓術)を受けた1692人では116人(6.8%)が罹患していた。脳血管内治療が有意に少ないことが分かっている。

また、約8割の施設で、くも膜下出血に対して何らかの髄液ドレナージが行われたが、脳血管内治療選択時は、約8割が腰部くも膜下腔ドレナージが行われていた。

遅発性脳血管攣縮に対する予防的に使用した薬剤は、塩酸ファスジルが回答した全ての施設で使用。次いでシロスタゾール(57%)、オザグレルナトリウム(55%)、スタチン(33%)と続いた。そのほかは3割以下の使用率となっている。

研究グループは「今回の全国アンケート調査の結果は、最適な予防薬の組み合わせを検討していく上で参考になると考えられる」とコメントしている。