東京医科歯科大学の大野京子らの研究グループは、強度近視患者の臨床情報と眼底写真などの画像データを用いた機械学習モデルを開発した。AIによる疾患の将来予測や患者の不安解消に貢献する可能性を示している。
研究グループは2011~21年に同大学で眼科的検査を実施した強度近視患者967例(1616眼)のデータを解析した。
研究グループはAIの特徴選択方法を使用して34の特徴をスクリーニングして最も重要な特異性を選択。これらを用いて5つの機械学習モデルを開発して予測精度を比較した。3年後の最高矯正視力(BCAV)を予測するにはAIの「サポートベクターマシン(SVM)」が最良の精度を示し、5年後には「ランダムフォレスト(RF)」が最も精密であった。
また、患者の5年後の視力障害リスクを予測する機械学習モデルを5種類開発して、精度を比較すると学習モデル「ロジスティック回帰」が一番高い確度を示していた。
研究グループは「本研究では、高度近視眼の長期視力を正確に予測する機械学習モデルを開発できると確認した」とし、「視力障害リスクの予測結果を可視化できるから、患者の強度近視に伴い眼底病変に対する不安の軽減及び予防や治療に貢献すると考えられる」と説明している。