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阻害薬投入後も生き残るがん細胞 がん研研究Gが新たな抵抗性機構を発見

がん研究会基礎研究部の片山量平部長らの研究グループは6日、CRISPR/Cas9によるスクリーニングを実施。未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害薬が存在してもがん細胞が生き延びてしまう現象に関わる遺伝子を探索した。その結果、EGF受容体(EGFR)に結合するタンパク質MIG6をコードするERRFI1遺伝子を失うと、ALK阻害薬が効きにくくなることを発見している。

解析によってMIG6を欠損したALK肺がん細胞では、ごく低濃度の増殖因子によってEGFRの活性化が誘導され、ALK阻害薬に抵抗性を生じることが明らかになった。

このMIG6欠損による耐性は、ALK阻害薬と抗EGFR抗体薬を併用することで、EGFRからの増殖シグナルが抑制されて耐性を克服できる可能性を確認し、動物実験でも十分な治療効果を認めている。

さらに同様の薬剤耐性メカニズムはROS1融合遺伝子陽性の肺がん細胞でも生じることを実験的に示した。

研究グループは「抗EGFR抗体薬とALK/ROS1阻害薬の併用療法により抵抗性を克服できる可能性が基礎研究レベルで明らかにされ、今後の治療法開発に貢献しうる研究成果であると考えている」と述べている。