国立天文台の中島王彦特任助教らの研究チームは、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡のデータを使って133億年前の酸素の存在比を調べた結果、宇宙誕生から5億年で急激に酸素が増えたことを明らかにした。天体物理学専門誌「アストロフィジカル・ジャーナル・サプリメントシリーズ」に13日付けで掲載される。
研究チームはジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡で120億年以前の銀河138個を発見。それらの酸素の存在比を測定することに成功した。現在から131億年前までの銀河に、質量に応じた酸素が存在することを突き止めている。
■5~7億年で酸素が急激に増える
また、宇宙が誕生して全く酸素が存在しなかった138億年前から5~7億年で銀河における酸素の存在比は急激に増えたことも判明した。
研究グループの大内正己教授は「131~133億年前という初期の宇宙で酸素の存在比が急激に高まり、現在の宇宙に至ったことが示されたことで、宇宙で初めて誕生した声明はこれまでの予想よりも早い時代だったかもしれない」とコメントしている。 ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡はアメリカ航空宇宙局(NASA)が中心となって開発を行っている赤外線観測用宇宙望遠鏡。ハッブル宇宙望遠鏡の後継機で、2021年12月に打ち上げられた。