日本電信電話㈱(NTT)は6日、量子計算機に対する高い安全性と通信効率性を両立するコミットメントを暗号理論における最も基本的な構成要素である「一方向性関数」のみを用いて世界で初めて構成した。この成果を通じ、将来には量子計算機に対する高い安全性と効率性を両立する秘密計算への応用が期待されている。
NTTの山川高志特別研究員らの研究グループは量子計算機に対する頑強性と通信回数が、達成したい安全性強度に依存しないという通信効率性を成し遂げる目標を一方向性関数のみを用いて世界で初めて構成した。
古典計算機に対する安全性のみを考慮する場合には、同様の性質を持つコミットメントは2011年から知られていたが、量子計算機に対する安全性を達成することはそれから10年以上未解決であった。量子計算機と古典計算機は異なる原理に基づいて作動するため、古典計算機を用いる攻撃者に対する安全証明は量子計算機に適用できないためだ。
■これまでと異なる手法とコミット面を設計し直す
山川研究員らはこれまでとは異なる手法でコミット面とを設計し直すことで量子計算機に対する頑強性を証明することに成功した。
今後についてNTTは「本手法を秘密計算プロトコルなどのほかの暗号プロトコルに適用することを通じ、耐量子安全性を証明することを目指す」としている。