筑波大学の武田文教授は、日本の企業従業員の労働パフォーマンスは抑うつ症状が最も強く関係しており、次に食欲が関係していることが分かった。従業員のメンタルヘルスの改善が効率につながることが示されている。
企業では従業員の健康を保ち、労働パフォーマンスの改善を目指す「健康経営」の観点からさまざまな取り組みを進めている。だが、どのような健康問題が労働に影響しているのか。これまで十分に明らかにされていない。
そこで研究では21~69歳の労働者1万2526人の健康診査やストレスチェック、労働パフォーマンスなどのデータを用いて26の健康問題と作業効率の関係を検討した。
その結果、男性では「抑うつ症状」最も負の関連を示した。「食欲がない」「よく眠れない」が続いた。女性も同様に「抑うつ症状」最も影響がでており、次に「食欲がない」「動悸や息切れ」であった。
武田教授は「企業従業員のメンタルヘルスや不定愁訴、睡眠の改善に取り組むことが労働パフォーマンス向上のための健康支援として効果的だ」と指摘している。