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腸内微生物叢とヒトゲノム、血中代謝物の関連性 阪大の研究Gが調査、日本人集団初の大規模データベース構築

大阪大学の岡田随象教授らの研究グループは、日本人524人を対象に、腸内微生物叢情報、ヒトゲノム情報、血中代謝物情報からなるデータベースを構築した。それを用いて、それぞれの関係性を研究した。

研究グループはゲノムワイド関連解析によって、腸内細菌とヒトゲノムとの結び付きを探索。腸内細菌と関連する遺伝子の塩基配列の個体差を複数明らかにした。

また、腸内微生物由来遺伝子とヒトゲノムとのつながりを分析し、ABO血液型を規定する遺伝子多型とA型血液型抗原を構成するN-アセチルガラクトサミンの代謝に関わる微生物由来遺伝子である「agaE」及び「agaS」との関連を認めている。

腸内細菌と血中代謝物との関連を確かめると、胆汁酸と複数種の腸内細菌とが関連を持っていることが明らかになった。さらに、腸内微生物由来遺伝子と血中代謝物の関係を調べると、胆汁酸代謝に関与する微生物由来遺伝子が血中の胆汁酸の量とつながりがあることが判明している。

研究グループは「本研究によって、ヨーロッパ人集団以外の人種集団で解析を行うことや、16SリボソームRNA解析ではなくメタゲノムショットガンシークエンシング解析を行うことの重要性が実証され、今後の腸内微生物叢研究の対象集団の多様化やデータの深化に寄与すると期待できる」とコメントした。