国立科学博物館の井手竜也研究員らは2日、森林研究・整備機構 森林総合研究所との共同研究で新種のタマバチを発見したと発表した。さらに本種がカシワの葉に形成する鈴状の虫こぶの形成過程をマイクロCTで解明することに成功している。
研究チームは岡山県で見慣れないタマバチの虫こぶ(虫のすみか)を発見。採取したこぶにいた成虫を捕獲して、DNAを調べると新種であることが分かった。学名をベリジネラ・ボルツム、和名をカシワハスズタマバチと命名。
和名は虫こぶがカシワの葉に作られること、虫こぶの中で幼虫室が転がる様子が鈴に似ていることから名付けられた。
また、虫こぶの完成過程をマイクロCTで検討。その結果によると、当初は幼虫室がこぶの中心に位置し、周囲を水分を含んだ柔らかい組織で覆われていた。だが、時間経過とともに隙間が生じていった結果、鈴の中身のような状態になったという。
研究チームは「特異な虫こぶを形成する新種のタマバチを発見したのみならず、マイクロCTを用いることで虫こぶの成熟過程を調査することが可能であると示した」と説明。「虫こぶの複雑な形状にどのような働きがあるのかという疑問に対する答えを探求するための手法として、活用されることが期待される」としている。