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ヒトiPS細胞の2期的治療法 慶応大教授らが開発に成功、脊髄損傷の新治療に期待

慶應義塾大学の岡野栄之教授らの研究グループは、脊髄微小環境の改善と神経再生の促進により運動機能を大幅に回復させることに成功した。重度脊髄損傷ラットに肝細胞増殖因子を損傷後から投与した後、ヒトiPS細胞由来神経幹/前駆細胞移植療法を行ったという。脊髄損傷の新たな治療法への貢献が期待されている。

教授らは肝細胞増殖因子(HGF)を損傷部に投与し、神経組織の保護や脊髄微小環境の改善をすることで、細胞移植療法の効果が増強するという仮説をたてた。それを検討するため従来の細胞移植療法単独の場合と比較して、治療効果を検証した。

重度脊髄損傷ラットに対して、急性期(受傷から2週)に肝細胞増殖因子を投与。その後亜急性期(受傷から2~4週)にヒトiPS 細胞由来神経幹/前駆細胞移植を行い、併用群を含めたそれぞれの治療群で比較検討を行った。その結果、併用群では他群と比較して、運動機能を大幅に向上する結果が得られたという。

■細胞移植にとって最適な環境を提供

具体的には、脊髄損傷後に肝細胞増殖因子を投与すると、抗炎症作用のほか、血管新生、神経再生、髄鞘形成を含む組織再生が促進された。細胞移植にとって最適な環境を提供できることが確認されている。

また、移植細胞の生存率を改善することで、神経再生の促進や温存された宿主の神経細胞とシナプスを形成することが確認。結果的に運動機能の良好な改善が得られた。

研究グループは「今後は本研究成果を基にした急性期から亜急性期脊髄損傷に対する重症度に応じた2期的治療法の開発が期待される」とコメントしている。