富山大学の庄司翼教授らの研究グループは、理化学研究所と筑波大学との共同研究で、単一の制御因子(転写因子)を用いて植物ステロイド成分の蓄積を短期間で顕著に誘導することに成功したと発表している。
複雑な化学構造であるステロイドなどを有する天然化合物は、医薬などとして広く利用されている。だが、植物体内にはこれら有効成分が微量に含まれているのみ。この成分の蓄積を増やすことができれば、医薬やその原料などの安定生産につながる。
研究では合成酵素因子の働きを統括する制御因子「PhERF1」の機能を増強させることでペチュニアの葉に、特有のステロイド成分の含蓄を飛躍的に増大させることに成功した。
この制御因子の類縁はほぼ全ての双子葉類に存在すると考えられている。技術を生かすことで、効率的に医薬などを作れるようになると期待される。