ノーベル生理学医学賞の大隅良典東京工業大学特任教授らの研究チームは、オートファジーによる生体膜の分解酵素が、液胞に輸送されて活性化された酵素「ホスホリパーゼAtg15」であることを明らかにした。細胞生物学雑誌「ジャーナル・オブ・セルバイオロジー」に2日、オンライン掲載された。がんやリソソーム病、脂質異常症などの疾患の研究に役立つことが期待される。
オートファジーは細胞が自らのたんぱく質を分解して再利用する仕組み。これまでこのシステムによる生体膜分解のメカニズム解明には進展がなかった。
研究では、Atg15がオートファジーによる膜分解の責任酵素であることをはじめて見いだした。加えて、Atg15の活性化には液胞内のプロアテーゼが必須であることを示すことにも成功している。
発見により30年間停滞してきた膜脂質分解の研究が進展した。研究チームは「研究で得られた生体膜分解の知見は、人などの脂質代謝性疾患の研究にも役立つ」と説明している。