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授乳中の3-4ヵ月児と母親の脳活動の同期を捉える 慶応大研究Gが解明 母子愛着、言語発達との関係も示唆

■研究のポイント

◎円滑で良好な他者との相互作用時に動作ばかりでなく互いの脳活動が同期することが知られている

◎授乳条件時に愛着に関わる脳部位などで親子の強い脳の同期がみられた。脳の同期の強さが強いほど、親子愛着の指標ばかりでなく、その後の言語発達の指標が高まることが示された

◎自閉症を有す可能性のある乳児群とそうでない群では脳の同期特性に違いはなかった

◎相互作用時の脳同期は社会的動物であるヒトの社会性の特徴とも考えられますが、乳児期にすでにその萌芽が親に対して見られ、その先の発達に関与することが初めて示された

慶應義塾大学の研究グループは、3-4ヵ月齢の乳児に対して親が授乳や抱っこなどの養育行動をしている際の脳活動を親子で同時計測し、授乳時に特定部位の脳活動が親子で同期していることを明らかにした。母親側では特に眼窩前頭と呼ばれる親子愛着に関与する脳部位が同期に強く関与。それら脳同期が強いほど、別途行った親子相互作用実験で観察された親子間の愛着指標や、その後の2歳辺りでの子どもの言語発達が良好であったことなどが示された。

この研究を行ったのは、慶応大文学部心理学研究室、ヒト生物学-微生物叢-量子計算研究センター(WPI-Bio2Q)の皆川泰代教授、同大学グローバルリサーチインスティテュートの森本智志特任助教、秦政寛特任助教ら。

ゲーム、討論、授業など10年ほど前からさまざまな社会場面での複数者の脳活動同期について成人を対象に研究されてきた。これらの研究では円滑な協力行動や作業没頭時に脳活動の同期が得られることなどが示され、脳同期と他者理解を含む社会性との関係も示唆されてきたが、乳幼児については、限られた研究しか行われていなかった。

今回の研究は、こうした現状を踏まえて行ったもの。3-4ヶ月児という発達初期の乳児でも既に母親との相互作用で、他者と協調する発達初期の脳内基盤が構築され始めていることを示唆している。脳活動とその他の行動や発達特徴の関係の解析からは、親子脳同期に親子愛着が関与し、このような同期の強い親子間の良好なコミュニケーション関係によって子どもの言語発達が促進されることが推察された。