名城大学の岩谷素顕教授らの研究グループは、高光出力の深紫外LEDなどを実現するために不可欠である縦型AlGaN系深紫外半導体レーザーの開発に成功した。さらに、加熱、加圧した水で基板剥離する技術を開発してメカニズムも解明している。成果は国際論文誌「Applied Physics Express」に掲載され、同誌の“Spotlights 2023”に選出された。
研究ではAlNナノピラーを用いたAlGaNを、1.5気圧135度で加圧、加熱した水を使用して剥離することが可能であることを示した。走査電子顕微鏡を用いて解析したところデバイスのサイドに相当するm面やa面のAlNやAlGaNは加圧、加熱した水によりエッチングされる。
一方、デバイス表面に相当する+ⅽ面に関しては走査電子顕微鏡では全く反応は確認されなかった。さらに試料表面の化学的な反応を原子レベルで解析することができるX線光電子分光法による詳細な分析により、+ⅽ面は加圧、加熱した水には反応しないことが解明されている。
研究グループは「研究の基板を剥離する技術により、高出力な深紫外LEDや深紫外半導
体レーザーの実現につながるだけではなく、パワーデバイスやその他の技術への拡張も期待される」としている。